禁煙の意志を挫く

禁煙をはじめようと思っただけでアウトの人がいます。ニコチンが切れかかった頃だととても深刻です。
それ以前に、禁煙をしようなど考えもしない人がいます。タバコが口から離せないような人は考える暇もないのです。
いま禁煙にチャレンジできる人は、そんな人に比べると、少し運がいいのかも知れません。

タバコはニコチン麻薬依存症です。
依存とは、それなしでは幸せを感じることができない状態のことです。
タバコは嗜好品であり、楽しみを与える何か良いものと思うのは簡単ですが、真実はそれなしではいられないという苦しみのことです。

禁煙の意志を挫くのはこの苦しみです。
苦しみから逃れるために、喫煙しなくてはならない言い訳を考え出します。
そして喫煙をすると、その言い訳の浅ましさがはっきり感じられて、そのことだけでもう二度と禁煙などしないできないと思うのです。
もちろん、タバコは合法だからこれでよいのですが・・・

結局、禁煙の継続とは、このタバコのない苦しみを乗り越えることにあります。
忘れる、というのが思いつく方法です。
吸いたい一時を何かで紛らす、といのもあります。

ぼくの提案は苦しみを楽しむ味わいつくすということです。
人生が深くなる豊かになるというのはこの事です。
お金に困ったり、食べるものに困ったり、住むところに困ったり、その辛さは経験した人にしか分かりません。
辛さを分かち合えるパートナーがいる喜び、信じ合える幸せ、人の情けの有難さ、などなど苦難こそ人生を豊かにします。

たとえば、外国へ旅に出て、盗難にあい、何もかもなくなって途方にくれる、すると飲み物や食べ物をくれる人、泊まるところを提供してくれる人が必ず現れます。現れなかったら・・・、現れるはずがない・・・、この思いこそが、貧しい生き方、浅はかな生き方の証明です。
そんな心の貧しい人は、困るのは自己責任だと、冷たく言い放ち手助けもしないことでしょう。その貧しさに自身でも気がついていないからでしょう。

禁煙は一人でできるささやかな行です。
しかし、その渇望は決してたやすい簡単なものではありません。
立派な人生を豊かに深くする行です。
禁煙行者は人生の浮き沈みの中で時間が味方してくれるから惑うことがありません。


Category: 今日のコラム
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